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コラム
 ■ソニー・出井会長がやったこと■ 【2005年4月】

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スペース  元プロデューサーの巨額経費不正使用を発端とする受信料支払い拒否者のとどまるところを知らない増加で揺れるNHKに、10数年ほど前、島桂次という実力会長がいた。突然の失脚のため残念ながら実現しなかったグローバル・ニュース・ネットワーク(GNN)という24時間ニュースチャンネル、世界に先駆けたBS放送の開始と推進など、時代の方向を読んだその的確な構想力は、掛け値なしに世界第一級レベルのものだったと思う。
その島会長に、当時ある席で、数分立ち話をする機会があった。
私は会長に、「NHKの中で、今すぐに世界レベルで通用するプロデューサーは何人くらいいると思いますか?」と訊ねた。島氏は、「1人か2人くらいじゃないかね。NHKは日本のテレビ局の中ではレベルは良い方だが、世界では全然低いよ」と即答したものだ。
その島会長が、盛田会長時代のソニーがハリウッドのメジャースタジオ会社を買収しようと動いている時その盛田氏から意見を求められ、「やめた方がいい。ハリウッドは魑魅魍魎が跋扈する伏魔殿のようなところで、とても日本人が相手にできるようなものではない」と忠告したことがあったという。

 実際その後38億ドル(当時のレート換算で約5千億円)という巨額費用でコロムビア映画を買収したソニーが蒙ることになった災難は、とんでもないものだった。それはもっぱら人選と管理の失敗に起因する。ハリウッドに詳しいという様々な人脈を頼りに同社は、コロムビア映画から改称したソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)のトップとしてピーター・グーバーとジョン・ピータース、ソニー・アメリカのトップとしてマイケル・シュルホフを起用した。この内、特に初め二人が最悪だった。いかにソニーがこの二人に引っ掻き回され莫大なムダ金を使わされたかの悪夢を描いた『ヒット&ラン』(ナンシー・グリフィン他著)の記述に従えば、「彼等の最も卓越した能力とは〈売り込む能力〉、特に〈自分自身のみを売り込む能力〉であり、信用を得る能力とかスタジオを経営・運営してゆく経験や能力の方では、全くといっていいほど欠落していた」とされている。90年4月にはNYポストのコラムに、「ある時ピータースはブロンドのスウェ−デン人スーパーモデルを口説き落とすため、彼がソニーに購入させたファルコンジェット機を花で一杯にして東海岸に送った」という記事が載った。スタジオ側はこの話を否定したが、ハリウッドの人間は信じた。そしてピータースはこのスーパーモデルと一緒にプエルトリコに行くために社用ジェット機を使ったことや、彼女を呼び寄せたロスのフォーシーズンズホテルのスイートをバスルームに至るまで蘭の花で一杯にしたことは認めている。

 こうした乱脈経営やヒット作の不足から、SPEは95年3月期には2600億円の営業権償却に追い込まれた。95年に就任した出井社長は、ソニーがこの二人と結んだ制作契約の内容を知り愕然としたらしい。この年の秋、9月10月と立て続けに渡米した出井社長は、米国映画事業のテコ入れに自ら乗り出す。この時点で問題児二人はすでにソニーを去っていたが、二人を監督する任のM・シュルホフの地位はそのままだった。そしてこの年末、出井社長は彼を辞任に追い込み、その翌年、SPEのトップとしてMGM系列の映画会社の社長でプロデューサーでもあるジョン・キャリーを引っ張ってきた。
次は、米国統括会社のソニー・アメリカのトップ探しである。ここに白羽の矢を立てたのが、CBS出身で放送部門のトップを最後に退いていた、今回ソニー・グループ全体のトップに選ばれたハワード・ストリンガー新CEOなのである。同氏が牽引してきたエンタテインメント事業は現在好調である。00年度から04年度の間に営業利益率は8%以上を達成、04年3月期の売上高1兆3162億円はグループ内で18%、営業利益542億円は同じく55%を占めている。

 企業トップの役割とは何だろうか。
それは、全体が進むべきビジョンと方向を示すこと、外部からも含め人材を登用して能力を発揮させ、さらに次代を育てること、そして事業を成長させること、の3つではないだろうか。
出井会長10年間の功罪については、すでに多くの指摘や意見がある。恐らく同氏の最大の誤算は、それほど死に物狂いで注力しなくてもそれまでの伝統に沿ってヒット商品は出てくるだろうと無意識に考えていたとしても不思議ではないハードウェア部門が予想外の不振に陥ったことと、全力を傾注したハードとソフトの融合はそれほど短期間では進まなかったことの2点であろう。それらに関しては、また改めて議論の機会があると思う。ここでは取り敢えず、就任後すぐ、前記のような悪夢に見舞われていた米国映画事業のテコ入れに乗り出し短期に建て直したことと、同氏が就任以来ソニー全体で売り上げ規模は3倍になったこととを、業績として記しておきたい。

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